消費税増税による不動産売却への影響は?
消費税が増税される直前の時期になると消費活動が活発になる傾向がありますが、不動産売買の場合にも同じことが言えるのでしょうか。消費税が高くなると不動産売却にどのような影響をもたらすのかを大まかに把握しておきましょう。
消費税の影響について確認しておこう
不動産売買における消費税の位置付けについてまずは確認しておきましょう。不動産の購入や売却のときには消費税がかかる場合とかからない場合があります。
基本的に土地は課税対象にならないので売買をしても消費税を負担する必要がありません。しかし、建物については課税対象なので消費税がかかる可能性があります。
個人間での取引では消費税がかからないのが日本の税制における原則なので、個人が個人に対して建物を売る場合には消費税を納める必要はなく、一般的な仲介を依頼したなら特に売買価格に対して消費税の影響はないのです。
ただ、事業として土地や建物の売買をしている場合には課税事業者として捉えられてしまい、売買の際に消費税が発生することになるので注意しなければなりません。
売買の価格に対しては消費税が影響しなかったとしても諸費用の中には消費税がかかるものがあります。印紙税や譲渡所得税、登録免許税などはそれ自体が税金なので消費税が課税されることはありません。しかし、不動産売買のときに大きな諸費用になる仲介手数料については課税対象です。
例えば、5,000万円の取引をしたら最大で156万円まで仲介手数料として請求することが認められています。これにかかる消費税は8%であれば12万4800円ですが、10%になると15万6000円です。差額にすると3万1200円にも上るので、増税前に取引を済ませてしまいたいと思うのが一般的です。
増税前には基本的には売れやすくなる
仲介手数料の消費税負担が大きくなることから増税前には基本的に不動産は売れやすくなります。もう少し厳密に言えば買い手の方が是非とも買いたいという気持ちが強くなるのが通例です。
土地を買ったら家を建てたいと考え、家を建てたり建物を買ったりしたら内装を整えたいと思うのが常でしょう。建築を依頼したり、家具や家電などを購入したりするときには消費税が発生してしまいます。
引越しについても同様で、たった2%の増税でもトータルで見ればかなりの金額になってしまうのは明らかです。可能な限り増税前に新居で生活できるようにしようと考えるのがもっともなことなのです。
増税後に売れにくくなるとは限らない
消費税増税がおこなわれた後に不動産売却をするのは難しいのかというと、必ずしもそうとは限らないということも理解しておきましょう。確かに仲介手数料にかかる消費税も高くなり、買い手としては家造りをするのに必要な費用にかかる消費税負担が大きくなります。
しかし、増税前に合わせて十分な資金を用意できるとは限らないので、タイミング良く不動産を購入できる人ばかりではありません。やや遅れて資金が整ったからやはり土地や家を買おうと考えるケースもあるので、後になってからでも決して売れにくくなることはないのです。
ただ、販売価格は変わらなくとも買い手にかかるコストは高くなってしまうことは否めません。結果として高いと売れにくい状況が生じることもあるということは念頭に置いておきましょう。
不動産売却のときには仲介手数料に対して消費税がかかるので、増税後にはその負担が大きくなることは否めません。結果として売却益が小さくなってしまうことに加え、買い手が負担する費用も大きくなるので消費税が大きくなると不動産が売れにくくなるのは確かです。その前に買ってしまいたいという人も多く、増税前は不動産売却に適しています。
しかし、その後も売れないわけではないため、増税前に無理に売ろうとしなくても問題はありません。